まきバッパも冬になると足や背中など体が痒くなり、我慢できずに掻いてしまうことがあります。
夏などはあまり痒くならないのに、なぜ冬になると痒くなってしまうのでしょうか?
「老人性乾皮症」のことを書いていきたいと思います。
老人性乾皮症
1 なぜ皮膚が痒くなるの?
冬になる空気が乾燥します。
さらに室内の暖房のために、皮膚の水分が蒸発しやすくなります。
加齢とともに皮膚も老化し、皮膚が乾燥して痒みが起こりやすくなります。
2 加齢による皮膚の老化とは?
皮膚の乾燥を防ぐのが皮膚の表面近く(角層)にある「皮脂膜」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」です。
しかし加齢によってこれらの機能が低下し、皮膚の水分や脂分が減り「乾燥肌」になり、皮膚が炎症し痒みが起こります。
* 皮脂膜 皮脂と汗の成分が混じり合ってできた薄い膜で、体表全体を覆って皮膚から水分が蒸発するのを防いでいる。
* 天然保湿因子 皮膚の角質細胞内で作られる物質で、アミノ酸、尿素、塩類からなり、水分と捕まえて離さない性質を持っている。
* 角質細胞間脂質 13~15層が重なっている角質細胞の層の隙間を埋めている脂で、成分の約50%はセラミドで、脂で水分を挟み込み逃さない働きをする。
3 皮膚の乾燥でなぜ痒くなるの?
乾燥した皮膚は軽い炎症が始まっており、かゆみに関する因子が高まって痒くなると考えられている。
4 老人性乾皮症の治療は?
*白色ワセリン (皮膚からの水分蒸発を防ぎ、皮脂膜の代わりとなる働きをする)
*尿素軟膏、ヘパリン類似物質を含む軟こうまたはクリーム、ヒアルロン酸を含むクリーム (天然保湿因子と水分の結合を促す)
*セラミドを補うクリーム (角質細胞間脂質の成分を補う)
これらの保湿剤は、皮膚に水分が含まれている、入浴直後の5分以内に塗るのが効果的で、肌を優しくなでるように塗る。
5 乾燥肌の予防は?(かゆみの発生、悪化を防ぐ)
*暖房器具を使っている間は加湿器で室内の湿度を40~50%に保つ。
*入浴時にせっけんで強くこすったり、長湯をして皮脂膜を失わないように気をつける。
*かゆみが起こったら、保冷剤で冷やしたり、保湿剤を塗ったりして、かきむしらないようにする。
まとめ
年齢とともに皮膚の老化が進むと、皮膚が乾燥して痒みが起こりやすくなる。
皮膚の乾燥を防ぐ働きをするのが、皮膚の表面近く(角層)にある、皮膚膜、天然保湿因子、角質細胞間脂質である。
加齢によってこれらの機能が低下すると、皮膚の水分が減りカサカサとけばだった状態の「乾燥肌」になり、皮膚の炎症によるかゆみが起こる。
老人性乾皮症のケアは、白色ワセリン(皮脂膜補強) 尿素軟膏、ヘパリン類似物質を含む軟膏またはクリーム、ヒアルロン酸を含むクリーム(天然保湿因子と水分の結合を促す) セラミドを補うクリーム(角質細胞間脂質の成分を補う)などの保湿剤を入浴直後5分以内に塗るのが効果的である。
乾燥肌の予防は、暖房器具を使っているときは加湿器で室内の湿度を40~50%以上に保つようにする。
入浴時に石鹸で強くこすったり、長湯をして皮脂膜が失われないように気をつけ、痒みが起こったらすぐに冷やしたり保湿クリームを塗るようにする。
参考資料 NHKテキスト「きょうの健康」2020年12月号