冬になると外気が乾燥するため、手の皮膚も乾燥が進みます。
手の皮膚が乾燥することで、外的刺激に過敏になり、アレルギー原因物質が手に触れることで発生するのが「手湿疹」です。
手湿疹のことを書いていきたいと思います。
手湿疹
1 手湿疹の6つの症状
*かゆみ
*皮膚が厚く、硬くなる(角化型手湿疹)
*皮膚が硬くなり指紋が見られなくなる(進行性指掌角皮症:しんこうせい、ししょうかくびしょう)
*小さな水ぶくれが指にたくさんできる(再発性水疱型手湿疹)
*グジュグジュした湿疹が現れる(貨幣状型手湿疹)
*皮膚が乾燥してひび割れができる(亀裂型手湿疹)
2 手湿疹の4つのタイプ
原因によって主に4つのタイプに分けられます。
*刺激性接触皮膚炎(手湿疹全体の約7割)
皮膚の脂分がとれる>>皮膚のバリア機能が低下する>>外的刺激に対して過敏になる>>炎症が起こる
主婦、理容師、美容師、医療従事者、飲食業界で働く人に多く見られる。
アレルギーとは関係なく誰でも発症する可能性がある。
*アレルギー性接触皮膚炎
アレルギーの原因物質にふれる>>免疫の仕組みが過剰に反応する>>炎症が起こる
原因物質・・・植物のウルシ サクラソウ、ゴム手袋の成分、シャンプーやヘアカラーの薬品、アクセサリー、ニッケル コバルト クロムなどの金属など
原因物質に触れてから24~48時間後に強いかゆみと炎症が起こる。金属などでは数日から1週間後になる場合もある。
*たんぱく質接触皮膚炎
アレルギーの原因物質となるたんぱく質の触れる>>15~20分ほど経過する>>腫れてかゆくなる
魚や甲殻類のアレルギーの場合(生魚やエビ、カニ、イカを触る>>すぐに触った手に蕁麻疹ができる>>数日後に水ぶくれになる強い湿疹の症状になる)
*アトピー型手湿疹
アレルギーが起こりやすい人(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、アレルギー性結膜炎などがある人)>>水仕事>>皮膚の脂分が取れる>>手湿疹が起こる
(アトピー性皮膚炎の人は、皮膚のバリア機能が低下しているため、外的刺激に弱く手湿疹が起こりやすい)
3 手湿疹の治療〘原因を取り除いて保湿する)
*原因を突き止める(皮膚科で問診を受ける)
問診(発症の状態、症状、職業、アレルギー性の病歴などの確認をする)
問診で原因がわからない場合はパッチテストを行う
パッチテスト(皮膚炎の原因と考えられる物質を皮膚に48時間貼る>>発疹が現れるかどうか調べる)
*治療
原因となる物質に触らない(再発や悪化を防ぐ)
炎症の強い部分にステロイド外用薬を使い炎症を抑える(さらに保湿剤を塗って皮膚の乾燥を防ぐ)
*保湿のポイント
保湿は皮膚の保護をします(湿疹の状態によって保湿剤を選ぶ)
白色ワセリン・・・油分が豊富で皮膚の表面を覆う皮脂膜を補強する
尿素軟こう・・・皮膚の水分を保つ(皮膚が切れているとしみる場合がある)
ヘパリン類似物質を含む軟こうやクリーム・・・皮膚の水分を保つ(刺激が少なく、ほとんどの手湿疹に使える)
セラミドを補うクリームなど(角質細胞間脂質を補強する)
保湿剤の目安量
ローション・・・1円玉程度の大きさ
軟こう、クリーム・・・人差し指の先端から第一関節までの長さ
*両手に塗れる程度の目安量ですが、塗る箇所の広さに合わせて、十分な量を塗るようにする。
まとめ
手湿疹の症状はかゆみ、皮膚が厚く硬くなる、指紋が見られなくなる、小さな水ぶくれが指にたくさんできる、グジュグジュした湿疹が現れる、皮膚が乾燥してひび割れができるなどのさまざまな症状がある。
原因によって刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、たんぱく質接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎の4つに分類される。
治療は原因を取り除いて保湿をすること。
保湿剤は手湿疹の状態によって選ぶ。
保湿剤は白色ワセリン、尿素軟膏、ヘパリン類似物質を含む軟こうやクリーム、セラミドを補うクリームなどがある。
参考資料 NHKテキストきょうの健康2020年12月号