痛風は体内の尿酸が増えすぎて起こります。生活習慣を見直すことが大事です。
痛風を発症するのはほとんど男性で、痛風の患者の98%を占めています。なぜ女性には痛風が少ないのでしょうか?
それは女性ホルモンの1つである「エストロゲン」の働きで肝臓から尿中に溶けて排泄される尿酸の量が増えるためです。
痛風について書いていきたいと思います。
痛風
尿酸
体内にあるプリン体という物質が肝臓で代謝されることで作られる。
(体の活動によって作られる尿酸は全体の85~90%)
尿酸値を上げる危険因子
*尿酸値の上昇には性別や体質、食生活や肥満などが関係している。
1 男性である
(痛風患者の98%が男性)
2 親族に痛風のある人がいる
(尿酸は尿と便から排出されるが主に尿から排出される。
尿からの排出力が体質的に弱い人が、プリン体を多く含む食品や尿酸値を上げる作用のある果糖や他の食品を食べすぎて肥満になると、尿酸値が上がりやすくなる。
父親や親族に痛風のある人がいる場合は、体質や食生活が似ていたりするので、痛風が発症しやすいと考えられる)
3 アルコール飲料をよく飲む
(アルコールは尿酸を肝臓で作られるのを促進して、排泄されるのを抑制する。アルコールの利尿作用によって体内の水分が減り尿酸値が上がりやすくなる。また飲酒によって食欲が増し、肥満につながる)
4 甘い飲み物をよく飲む
(ジュースや清涼飲料水には、果糖が多く含まれていて、尿酸値を上げる作用がある。果物にも果糖が含まれているが、ビタミンCが尿酸値を下げる働きがあるので、とり過ぎなければ良い)
5 肉や魚の内蔵をよく食べる
(内臓には特に多くのプリン体が含まれている)
*プリン体の多く含む食品
極めて多い (鶏レバー、まいわしの干物、たら・ふぐ・いさきの白子、太刀魚など)
多い (豚・牛レバー、かつお、まいわし、大正エビ、オキアミ、まあじ・さんまの干物など)
6 肥満
(肥満によって内蔵脂肪が増えると、肝臓で尿酸がたくさんつくられる。また血糖値を下げるインスリンが膵臓から多量に分泌される。
インスリンは肝臓から尿酸を排泄されるのを阻害するので、尿酸値が上がりやすくなる)
体格指数
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMI 25以上30未満(肥満 1度) 30以上35未満(肥満 2度)
35以上40未満(肥満 3度) 40以上(肥満 4度)
7 その他
(薬で血液中の尿酸を増やす作用のあるものや、何らかの病気が原因で肝機能が障害されると尿酸の排出機能が低下して尿酸値が低下する。
高尿酸血症
尿酸値が7.0㎎/dLを超えた状態を「高尿酸血症」と言う。
自覚症状がないまま進行するため放置されることが多い。長く続くと溶けきれなかった尿酸が関節の中で結晶化して、数年以上かけて関節にたまる。
そのことから、ある日突然、激しい痛みの「痛風発作」が起こる。痛みは数日から2週間程度で治まり「間欠期」になる。
治療しないでおくと半年から1年後に再び痛風発作が起こる。痛風発作と間欠期を繰り返していると「慢性期」に進行する。
*健康診断などで高尿酸血症を指摘された場合は尿酸値が上昇しないように、生活習慣や肥満などの改善をすることが大切になる。
まとめ
尿酸値を上げる危険因子は7つあります。アルコールや甘い飲み物などを摂りすぎると肥満になり、肥満になると肝臓で尿酸がたくさん作られ血糖値を下げるインスリンが膵臓から多量に分泌されます。
尿酸値が7.0㎎/dLを超えた状態を「高尿酸血症」と言い、そのまま放置されると、関節に結晶化された尿酸がたまり「痛風発作」が起こります。
痛風発作を放置しておくと「慢性期」になり頻繁に起こるようになります。
尿酸値が上昇しないように生活習慣や肥満などの改善をすることが大事です。
NHKテキストきょうの健康2020年1月号