痛風を放置しておくと様々な生活習慣病を合併しやすくなります。
どのようなことが起こるのか?どんな合併症があるのかを書いていこうと思います。
痛風発作の起こる仕組み
高尿酸血症を発症すると、血液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化して関節に溜まっていく。この状態が続くと、尿酸の結晶が突然、剥がれ落ちる。
免疫細胞の白血球が剥がれた尿酸の結晶を異物と思い攻撃する。このとき白血球から炎症物質が出ることで、痛風発作の激しい痛みや腫れが起こる。
痛風発作の応急処置
初めて痛風発作が起こりすぐに医療機関に行けない場合は、氷や保冷剤で幹部を少し高い位置にして、冷やす。
薬物療法
痛風発作が起こったときは、早く薬で痛みを和らげることが大切。
薬は「非ステロイド系抗炎症薬」を服用する。非ステロイド系抗炎症薬を使用できない場合や効き目がない場合は「ステロイド剤」を服用する。
コルヒチン
痛風発作を未然に防ぐのに有効。発作が起こる前に「足の指がピリピリする」「足の指がムズムズする」などの前兆が起こる場合がある。このときもコルヒチンを服用する。
痛風発作が起こりやすい部位
約7割が、足の親指の付け根に起こる。(足は、冷え安いため、尿酸が結晶しやすい。足の親指は歩行や運動の衝撃を受けやすく、関節に付着した尿酸の結晶が剥がれやすい)
その他は足の甲、膝、足首、アキレス腱の付け根なども起こりやすい。
痛風による合併症
1 痛風結節
関節周辺や皮膚の下に、尿酸の結晶がコブのように盛り上がる状態。
(最初の痛風発作が起こってから10年ぐらいで痛風結節ができると言われている。痛風結節が大きくなると、関節が変形したり、骨が破壊されることもある)
2 肝機能障害・尿路結石
肝臓に尿酸の結晶が貯まると、肝機能が傷害される。痛風に合併して起こる動脈硬化は肝機能に影響する。
尿中の尿酸が固まって、尿路結石ができることがある。尿管が傷つけられると、背部などに激しい痛みが起こったり、血尿が出たりすることがある。
3 生活習慣病
高尿酸血症や痛風のある人はメタボリックシンドロームを合併していることが多いので高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を合併しやすくなる。
これらの生活習慣病によって動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気を発症する危険がある。
合併症予防のための生活習慣の改善
1 食生活の改善
栄養バランスのとれた食事を1日3食規則正しくとる(肥満につながるので、早食いやまとめ食いはしない。アルコールは控えめにする)
2 低脂肪乳製品、コーヒーには尿酸値を下げやすくする作用がある。ショウ酸カルシウム結石がある場合はコーヒーを避ける。
3 ブロッコリーやきのこ類などはプリン体が多く含まれているが、痛風の発症には影響しない。
4 こまめな水分補給で尿の量を増やし、尿酸の排泄を増やす。(心臓や肝臓の病気がある場合は、水分補給について、担当医の指示を受ける)
5 自分の好みや生活リズムに合った「運動」を習慣化する。
まとめ
痛風発作が起こった場合は痛みを抑えるために、氷や保冷剤で幹部を冷やし、痛みが和らいでから、医療機関の受診を受けます。
痛風の痛みを抑えるには「非ステロイド系抗炎症薬」を服用しますが、非ステロイド系抗炎症薬を使用できない人や、あまり効き目がない人は「ステロイド薬」を服用します。
痛風が進行すると合併症のリスクが高くなります。
合併症には痛風結節、肝機能障害、生活習慣病などがあり、合併症予防には生活習慣の改善が大事です。
NHKテキストきょうの健康2020年1月号