寝ている間の「脚」の不快感が原因で睡眠障害になっている場合があります。
脚が原因の睡眠障害について書いていこうと思います。
むずむず脚症候群
「むずむず脚症候群」は眠っているときに、むずむずした不快感を脚に感じる病気です。
症状・・・太ももやふくらはぎ、足の指や足の裏など、脚のさまざまな場所に現れ、おなか、腕などにも現れる(かゆい、痛い、チリチリする、熱い、虫がはう感じ、むずむずする、泡立つような感じなど)
原因・・・脳の機能異常が関係していると考えられる。脳の「ドパミン神経」の働きが低下していたり、脳内で鉄分が不足すると神経回路の調節機能が弱まって、本来感じないような刺激が、不快感となって現れる。
対処法・・・生活習慣の改善に取り組む。
1 夕方以降はむずむず脚症候群の症状を誘発するカフェイン、アルコール、たばこを控える。
2 食生活・・・ほうれんそう、ひじき、赤身の肉など鉄分の多いものをとる。
3 入浴・・・浴室から出る前に、ぬるま湯を脚にかけ、ほてりを冷ます。
*むずむず脚症候群は、日本では人口の2~4%にあると推定されている。
世界全体では、女性の方が男性より発症しやすく、高齢者に多い。日本では年代を問わず発症している。
周期性四肢運動障害
脚が勝手に動いて眠れない。
症状・・・寝ている間、自分の意思とは関係なく繰り返し脚がピクッと動く。膝や足首に多く起こり、20~40秒に1回くらいの頻度で繰り返す。
原因・・・運動や反射をつかさどる脊髄が常に「睡眠中に脚を周期的に動かせ」という指令を出している。一方で脳の別の部位からそれを抑える司令が出ているため、普段は動くことはない。ドパミン神経の働きの低下や脳内の鉄分不足で、抑制する司令がうまく行かず、脚が勝手に動いてしまう。
対処法・・・むずむず脚症候群と同じように「生活習慣の改善」と「薬物療法」が行われる。
夜間頻尿
症状・・・夜中に尿意を覚え、トイレのため何度も起きてしまう。
原因・・・高齢者に多くみられ、年齢とともに膀胱の尿をためる機能が弱まることや、高血圧などの持病で夜間の尿量が増えることによって起こる。
*一部の夜間頻尿に脚が関係していることがわかってきた・・・日中にとった水分は、通常、血液として全身を巡る>>加齢等によって、脚の筋肉や心臓のポンプ機能が低下>>血液が上半身まで押し上げられず、ふくらはぎにたまる>>その血液が就寝時に横になったとき、上半身に戻る>>その中の余分な水分が尿となる>>夜間頻尿が起こる
対処法・・・夜間頻尿には散歩などの運動が有効(ふくらはぎの筋肉がポンプのように働き、貯まった血液を上半身に押し上げる効果がある。
アルコールやカフェインには利尿作用があるため、就寝の3~4時間前から控えるようにする。
まとめ
脚が原因の不眠には「むずむず脚症候群」「周期性四肢運動障害」「夜間頻尿」がある。
むずむず脚症候群の原因は、脳の「ドパミン神経」の働きが低下、また脳内の鉄分不足のため、神経回路の調節機能が弱まって起こる。
対処には夕方以降はカフェイン、アルコール、たばこを控え、食生活では鉄分の多いものを取るようにする。
周期性四肢運動障害は、寝ているときに、自分の意思とは関係なく、繰り返し脚がピクっと20秒から40秒に1回の頻度で繰り替えされる。
原因は脳の「ドパミン神経」の働きの低下や脳内の鉄分不足によって起こる。
夜間頻尿は、加齢によって膀胱の働きが弱まることや、高血圧などの持病で、尿量がふえることで起こる。
改善するには「運動」が有効。運動することで、ふくらはぎの筋肉が、脚に貯まった血液を上半身まで押し上げ、日中に尿を排出するのを促す。
参考書籍 NHKきょうの健康 2021 3月号